
株式会社TOAシブル
代表取締役社長兼CEO
安池 慎一郎
100年企業をめざして 〜持続可能な社会づくり〜
日頃より当社の事業に多大なるご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
はじめに、令和6年能登半島地震をはじめとする、国内外で発生した自然災害等で被災された皆さまに、改めて心よりお見舞い申し上げます。
昨今、地球温暖化の進行に伴う気候変動リスク、生物多様性の諸問題、社会構造の複雑化などにより、企業を取り巻く環境は急速に変化しております。私たちは地球に「緑豊かな明日を創る」ことが、企業の使命と考えております。先行き不透明な環境下の中で、100年企業に向けて邁進していくためには、企業として一丸となり不可能(インポッシブル)を可能(ポッシブル)に変えていくための発想力が必要です。当社は柔軟(フレキシブル)な発想力に加え、自社のあるべき姿や方向性、未来への可能性を明確にさせ、地域社会・地球環境との調和を大切にしながら、サステナブルな社会実現のため、企業活動に邁進していきます。
経営戦略と財務インパクトの成果と今後の期待
前期においては、混合燃料や潤滑油の製造販売の専門企業である「株式会社 大池」の全株式を取得いたしました。
これによりTOAグループとしての事業領域拡大とシナジー効果の創出をし、また中期経営計画「TOA2022-2025」においては、既存事業の深化をテーマに、営業・生産・研究の面において見直しを図ってまいりました。その結果、2023年度のグループ連結売上高は40.8億円とTOAシブル売上最高水準を更新することができました。
次の3か年における中期経営計画「TOA2025-2027」においてのグループ連結売上高は66億円に設定しております。先ずは、当社の主力製品であるBWF(再生固形燃料)、Reco Oil Fuel(再生重油)やMixible Oil Fuel(エマルジョン燃料)の更なる生産拡大に伴う設備投資と体制強化を実施してまいります。
次に、GHG削減の提案・実行と共に環境課題解決ソリューションの促進を実施し、その為の人員補充やDXの推進を行ってまいります。引き続きお客様に寄り添い、お客様の声を聴き、ニーズを的確に把握することで建設的なパートナーシップの構築を図り持続可能な成長と競争力を確保してまいります。
人的資本への投資とESG経営
少子高齢化の進展に伴い、労働人口の減少が加速化している昨今、企業の持続的な成長と競争力の維持に人的資本経営は不可欠といえます。当社の魅力は“社員”です。社員は宝です。当社の社員は一人ひとりが高い能力を有しており、企業はその能力を高めることで組織力、競争力が強化され、それは持続可能な会社=社会の実現に繋がると考えております。当社はより一層人権に配慮した企業活動を推進し、人権方針の策定や、サプライチェーンの管理等の実施により、更なる透明性を確保し企業としての説明責任を果たしてまいります。
サステナビリティ領域におけるマテリアリティの変更
当社グループの活動が、環境や社会にどのような影響を及ぼすのかを把握、管理するためマテリアリティを特定しています。マテリアリティ特定後、PDCAマネジメントの実践や外部有識者をはじめとするマルチステークホルダーとの対話を図りながら50期より「TOAサステナブル戦略 2030」の改定を実施いたしました。
これまでの優先課題「①限りある資源を大切に」「②地球環境をクリーンに」は当社の本業に直結する最重要課題として据え置き、「③地域社会・経済に安心を」という課題を細分化することといたしました。「3:地域社会との共存共栄」「4:豊かな未来を創る組織の実現」「5:揺るがない経営基盤の確立」の5つの戦略的優先課題を設定しております。
限りある資源を大切に
廃棄物の適正処理体制の構築を進め、受入処理数量拡大と稼働率の向上に取り組むと共に、設備の改善や業務フローの見直しを進めます。また、再生燃料の用途拡大のために、近隣大学との協働研究によるレシピ開発とノウハウの可視化にも取り組みます。また他社製品との差別化をはかるため、当社製品にネーミングとロゴをつけることで付加価値を高め、ブランドとしての確立を図っていきます。これらの取組みにより、取扱数量を拡大させることで、CO₂の削減に寄与してまいります。
地球環境をクリーンに
2050年カーボンニュートラルの達成を視野に「GHG排出量の削減」の需要に対応するべく、今後も法令基準より厳しい独自基準設定による環境汚染抑止の推進や、二酸化炭素排出量の削減対策、再生可能エネルギー利用率の向上を促進してまいります。50期からは企業活動の基盤といえる自然資源を守るため、生態系の保全、水資源管理を新たなテーマとして取組みをスタートさせました。51期以降、TCFDやTNFDのフレームワークが意図しているガバナンス、戦略、リスクマネジメント、指標と目標の議論を強化していき、気候変動や生物多様性と自社の財務との関連性に対する説明責任を果たしてまいります。
地域社会との共存共栄
50期は、千葉県主催の学生向け工場見学会の実施や、近隣小学校向け環境教育、地域企業との協働によるイベント開催など、社会貢献活動の取組みを強化させてまいりました。その中でESD(持続可能な開発のための教育)は、子ども達だけでなく私たち大人にも必要であると実感しています。51期以降、当社はESD推進をテーマに、全てのステークホルダーが持続可能な社会を築くための力を育むことができるよう、CSR活動への積極的な参画や、学校・地域との連携協力体制をより強化し、持続可能な社会づくりの一端を担ってまいります。
豊かな未来を創る組織の実現
DEIの推進は当社の重要課題です。現在多様な人財が活躍できる風土を醸成するべく、環境整備を実施しております。当社では女性社員の経営参画に向けて、女性管理職の増員を進めてまいりました。今後は、既存の在り方に捉われず柔軟性をもち、様々な年齢層の方々や障がいをもつ方々も安心して働いていただけるよう、働き方や設備の見直しを進めて参ります。また、社員が健康で安全な環境で働くことができるよう組織体制の改革を実施しました。産業廃棄物処理業界にとって安心・安全は最重要課題といえます。安全第一企業として、今後も業務に邁進してまいります。
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揺るがない経営基盤の確立
健全な内部統制システムをもつ企業として成長を続けるべく、リスク委員会、コンプライアンス委員会の設置と共に、定期的なリスク管理に関する教育の実施や、ガバナンスの強化を進めてまいりました。また、働きやすい環境を整備するため定期的な社員アンケートを実施し社員の意見を吸い上げる仕組みを構築いたしました。51期以降は、内部管理体制をより強化してまいりたいと考えます。そして、コンプライアンス経営を推進することで、公正、透明で信頼を第一とした企業活動が永続的に行えるよう、引き続き健全性を高め、地域から選ばれる企業として活動を続けてまいります。
49期から
- 限りある資源を大切に
- 地球環境をクリーンに
- 地域社会・経済に安心を(より豊かに)
50期から
- 限りある資源を大切に
- 地球環境をクリーンに
- 地域社会との共存共栄
- 豊かな未来を創る組織の実現
- 揺るがない経営基盤の確立
実現したい未来
「自然と共に生きる未来を創造する」ため、私たちは5つの重要課題に真摯に取り組んでまいります。廃棄物は資源であり、廃棄物の処理はリサイクル=「ものづくり」です。私たちはその観念のもと、循環型社会の構築の実現により、地球に優しい企業、そして一層社会に貢献していく企業として成長を続けてまいります。また、社員一人ひとりが仕事に誇りをもち、情熱的かつ柔軟な発想の創出がより一層醸成され、循環型製造業の意識が高まり、再生製品の品質が追求されることで、企業の財務的な価値を更に高めていけるような成長に繋がると確信しております。
Keep doing! 繋げよう未来へ
このスローガンには、未来へ繋ぐ企業として成長し続けようという私たちの強い決意が込められています。これからも環境や社会に配慮し、健全で透明性の高い経営を実践すると共に、安心安全な製品とサービスをお届けしてまいります。ステークホルダーの皆様におかれましては、今後も変わらぬご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。